3構造 ―木を組む。―
木構造設計
「木」を知り尽くしたプロによる構造設計
山根木材では、木造住宅専門の構造設計事務所「木構造設計」で、1棟ずつ丁寧に構造設計を行っています。
年間1000棟を超える構造設計実績によって、木の特性を知り尽くした専門スタッフと、設計士が打合せを行いながら設計を進めるため、お客様の要望や意匠設計の意図を最大限に汲み取った構造設計が可能となります。
国全体が丈夫で長持ちし、適切な維持管理のできる長期優良住宅を推進する中で、ますます構造設計の質の高さが求められています。
山根木材は、構造設計・構造計算という課題を解決し、良質な木造住宅の実現を目指します。
構造計算
客観的な数値で安全を証明
構造計算とは、建築物を設計するときに客観的な数値で安全性を確認することです。
建築物に働く力は、建築物自体の重量や建築物内の人間や家具・調度・物品などの重量、地震、積雪、風圧などがあります。その建築物が、安全に立っていられるか、地震などに対して安全性を保てるかを確かめるために構造計算を行います。
建築士は、家を設計することが仕事であるため、ある程度の家の構造を知っています。
しかし、知っているからといって、誰でも構造計算ができるわけではありません。
建築士の中でも構造計算ができるのはほんの一握りの人間です。
その要因は、構造計算が非常に難しいこと、安全性の根拠といえる構造計算書だけでも300ページは簡単に超えてしまうという煩雑さ、構造計算ソフトが高価なことなどが上げられます。
そのため、構造計算ができない建築士の多くは、構造計算を外部に発注しています。
山根木材には、意匠設計の意図を汲み取り、建築確認審査をクリアできる構造計画・設計等の提案や構造計算を行う木造住宅専門の構造設計事務所『木構造設計』があり、過去2万棟以上の木組み経験から、より頑丈で安全な構造計算を行っています。
構造設計通りのプレカット加工ができる工場と直結していることも、山根木材の『木構造設計』の特徴の一つです。
地震によって建物が受ける水平力 < 建物の耐力
(震度5の地震で構造体は損傷無し ≒ 震度7で倒壊しない)
山根木材が取り組んでいる安全性を確認する方法は、「許容応力度計算」です。
「許容応力度計算」は、構造設計の安全性の根拠といえます。
許容応力度計算
構造等級を設定する場合の、いわゆる構造計算のこと。
「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年度版)(公財)日本住宅・木材技術センター」を根拠とし、地震力や風圧力が計画建物に与えられたときに、全体から一つ一つの部材まで、受ける力の量を算出し、耐えられる(許容)範囲内かを検証する方法です。
耐震等級3
地震に耐える家づくり
耐震等級とは、地震の力が加わった時の建物の倒壊・損傷のしにくさを、評価手順に従って算出した等級により、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示したものです。
耐震等級3は建築基準法の1.5倍の建物強さが必要となります。
※建築基準法の建物強さとは、数百年に1度程度発生する地震の地震力に対して、倒壊・崩壊しない程度を指す。
耐震等級3のチェック項目
●壁量のチェック
(壁量計算)
壁量が十分かを確認する。
壁の少ない建物は、地震や台風の力に対して抵抗できずに壊れる恐れがある。
●壁の配置のチェック
(4分割法)
バランスよく壁が配置されているか(偏心が適正範囲内か)を確認する。
壁の配置バランスが悪いと、その部分が地震や台風の力に抵抗できず、ねじれて壊れる恐れがあり、必要な壁量を満たすだけでは安全とはいえない。
●接合部のチェック
軸組の接合部に架かる力を計算し、補助金物を適切に施工する。
軸組の接合部が弱いと、壁量が十分であっても地震や台風の力に抵抗する前に、家がバラバラになってしまう恐れがある。
●床倍率のチェック
床が大きな揺れに対して、先に壊れたりしないように配置と強度を床倍率で確認する。
壁が十分に強さを発揮するためには、上階の壁から下階の壁に水平力を伝えられるように計画する必要がある。
●横架材のチェック
鉛直荷重(固定・積載・積雪の荷重)に対して、横架材の強さが十分かを確認する。
建物の条件(積雪条件、屋根の重さ)やモジュール、架構条件を考慮し、使用樹種に応じた横架材の断面寸法を決定する。
●基礎のチェック
鉛直荷重(固定・積載・積雪の荷重)が上部構造、基礎を通じて適切に地盤に伝わる基礎設計を行う。地震力や風圧力などの水平力により上部構造に生じる引張力に対して、十分な耐力を基礎が有するように設計する。
プレカット
木造住宅の90%はプレカット
<構造設計と連動した精密な加工>
木造住宅の90%はプレカットの時代。
構造材に使用する木材の品質管理は、社内で責任を持って行っています。
その一環として、全国に先駆けて木材を自動加工するプレカット工場を1985年に建設。
プレカット工場では、構造設計で正確に算出されたデータをもとに、木材を接合するための仕口・継手という加工を行っています。
これにより現場の作業効率を大幅にアップでき、工期を短縮し、コストダウンにも繋がり、さらに、廃材や余剰材を削減することで、環境に配慮された現場となります。
プレカット加工。
住宅に使用する木材をプレカットにより精密に加工。
プレカット機械(廿日市工場)
最新のプレカット技術をもつ廿日市工場では、柱や梁・桁の主要構造材だけでなく、床合板、野地合板、筋かい、垂木などの羽柄材も、加工データに基づきプレカットできるトータル設備を整えて、品質向上に取り組んでいます。
制震性
繰り返しの余震に強い制震ダンパー
<耐震だけではなく「制震」という最新技術を。>
地震の揺れを最大95%吸収・低減する制震ダンパー『MIRAIEΣ』を採用し、繰り返しの地震による家の損傷を抑えます。山根木材は、2012年に制震ダンパー『MIRAIEΣ』を広島でいち早く導入しました。
建築基準法にも定められている、近年の新築住宅なら標準的に保持している性能です。建物の強度を上げる地震対策ですが、建物が地震エネルギーを全て受け止めて耐えようとするため、構造躯体へのダメージが大きく、余震や別の地震の際に本来の性能を発揮できない可能性があります。
地震エネルギーを吸収するシステムです。建物の揺れが抑えられるため、構造躯体へのダメージが軽減されます。また、別の地震対策の1つである免震システムと比較し、低コストで導入できることも魅力です。
※地面と建物の間に設置し、揺れを極力伝えないシステム。
MIRAIEが揺れを吸収するしくみ
ダンパー上部に取り付けられた高減衰ゴムが変形することで、地震の揺れを吸収します。
高減衰ゴムは、地震の揺れによる運動エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変えて、吸収・発散することができる最先端ゴム技術です。
橋梁ケーブルやビルのダンパーなど数多くの構造物で安全・安心を支えており、90年経過しても性能がほとんど変わりません。
地盤
土地の強度を調査
<地質・地耐力を測定>
地盤調査とは、建築しようとしている土地が、どの程度の強度を持つか調べることです。
安全な住まいには、第一に地盤に合った適正な地盤補強が欠かせません。
山根木材は地盤調査にスクリューウエイト貫入試験方法を標準採用し、土の硬さ、締まり具合、土層の構成など、地質や地耐力を十分に調査します。
主に建物の四隅と中心部で測定した結果を地盤調査報告としてまとめ、地盤補強が必要な場合は、強度に応じて鋼管杭・表層地盤改良・柱状地盤改良などの適正な補強工事を実施します。
地盤補強
地盤改良でより安全をつくる
<地震対策は強固な地盤から>
地震に強い家をつくるためには、建物や基礎を支える地盤もしっかりとした強度が必要になります。
地盤調査によって、軟弱な地盤であることが判明した場合は、適切な地盤改良工事を実施して、強固な地盤の上に安全な家をつくります。
鋼管杭
基礎部分に沿って、地盤の固い支持層まで鋼管杭(パイプ)を打ち込み、地中に支持体をつくることで建物の基礎を支えます。
表層地盤改良
改良したい地盤が浅い場合、セメント系固化材を原地盤の土と混ぜ合わせて、土そのものを板状に固めて地盤を強化します。
柱状地盤改良
改良したい地盤が深い場合、セメント系固化材と水を混ぜたセメントミルクを注入して、地中に柱状の改良杭を構築し、土を杭のように固め支持体をつくります。
基礎
安定性に優れたベタ基礎
基礎は、地盤と建物をつなぐ重要な役割を担っています。
建物の重量を長期にわたって受け止めることはもちろん、地震の際には建物上部が受けた水平荷重(横からの力)を地盤に伝える役目も果たします。
一般的な基礎の形状である「布基礎」と「ベタ基礎」のうち、山根木材は標準でベタ基礎を採用。
ベタ基礎は、荷重を面全体に分散するので、点で支える布基礎に比べて、局地的に荷重がかかることを防ぎ、地震時や不同沈下に効果を発揮します。
また、基礎全体を防湿フィルムとコンクリートで敷き詰めるため、地面からの湿気を防ぎ、床下の防腐・防蟻効果もあります。